2008年10月16日木曜日

左京区保育内容研究会10月15日


今年二回目の保育内容研究会。今回は、材料を持ち込んで、保育士さんたちがそれぞれどんな応答をするか、いっしょに遊んでみようというつもりで臨みました。
その材料とは、
1泥;彫塑粘土があったので水を加えてどろどろ状態に。
2木切れ;六つ割の木を適宜、のこぎりで端材にしたもの。
どちらも手で触れ、いじくり回すことで感触の変化や味わい、なによりも土と木の素材がもたらすハプティック(触覚的)な皮膚感覚と運動感覚を遊ぶ。

ここでは表現は、まず身体全体の応答力と、きもちがかたちと会話することの体験。
泥は、泥団子のように固形の固さや抵抗感を与えてくれる。
さらに、今回のようにペースト状になると引っかく楽しみが生まれる。

両手に割り箸を持って描くとリズムや息遣いが線になって表われてくる。両手描きは、まさに触るという感触を気づかせてくれる。

さらに、水をくわえて液状にすると流れ、垂れる流動的なかたちが生まれてくる。
今回は、両手で塗りたくったり、木で引っかいたり、こすったり、指先でトントンと凹凸をつけたりといろんな動作や表情のかたちが生まれました。

一方、木片をただひたすらサンドペーパー(60番、120番)で磨く。

五つほどの磨いた木片ができたら、積み木のように積み上げてみる。
三つの上に二つを乗せてみる。
二つの木片の上に三つを乗せて。
さらに、一つの上に四つを乗せてみる。
バランスをとって積み上げると重力が手の中で揺らぐのが感じられる。
皆、違う形が積みあがり、並べて鑑賞するとおもしろい。

時間が、あっという間にたって、みなさんわいわい、キャーキャーと、こちらも保育士さんたちの元気をもらいました。ありがとう、そしてご苦労様でした。
最後に、それぞれの持ち寄った幼児の絵を鑑賞しました。



いろいろ普段のお声がけやお絵かきの様子が、垣間見れて、微笑ましくもこどもにとっての大切な時期を共に生きるエネルギーが見えてきて刺激を受けました。
この時期の絵は、そのときにしか描けない、本人も気づかないものといえます。
発達の過程と造形表現の過程とを有機的に結びつけることでたくさんの力やエネルギーを涵養できます。

2008年7月2日水曜日

左京区市営保育所保育内容研究会2008 



あらわす(絵を描く)ことを深めよう

めあて;保育所間の保育内容の交流や他機関との連携をはかり、職員の専門性の向上を目指す。
メンバー;養生保育所、養生乳児保育所、錦林保育所、福ノ川保育所、修学院保育所 (保育士さん約40名)

第1回 7月1日(火) 18:30~20:00 養正保育所ホール
テーマ;身体感覚で絵を描こう(0歳児~5歳児保育)
発達に応じての絵のあり方を巡って、その内容と方法、「めあて」と「みとり」
① 表現する身体の感触と動きを感じ取ろう
身体の動きがかたちになることへの気づき;<歩いて走って線になる>、<トントンたたいて星になる>、<ぐるぐる回してマルになる>、<こすってぼかして雲になる>、
② 材料、道具への気付き;同じ動作でもかたちが変わる
トントンたたく動作でもクレヨン、指、布を丸めてなど、道具・材料を変えることで変化を楽しもう。
■ 内容・進行記録;
18:20ごろより;導入/ストロー笛で音あそび
(各自が身近なモノ(材料となりそうな)をもちよった中にストローがあったので)
紙で笛、パチンならしの折り紙、などで
18:40 開始の挨拶と導入WS感触;
持ち寄った紙を各自、手に取り、破らないようにシワクチャにする。
やさしくやわらかく、やんわりと、手でもみほぐして感触を味わおう。
隣の人のとときどき交換して感触の違いを確かめ合う。
/ここでは同じことをやってもそれぞれの違いがあらわれることの気付き。
紙が布のような別のものになっていく変化を楽しむ。
何も足したり引いたりしてないのに触ることで変化する。
愛着がわく(自分のものといった)。
手の感触の気持ちよさや癒し。
19:00 WS音をだす・きく;
別の新たな紙を手にとって楽器に見立て音をならす。
たたいたり、もむ、破る、はじく、口に当ててふく、など、どんな音が出せるか試みる。
グループで発表;丸く座って順番に音をならす。みんなでいっせいに鳴らす。発表してもらう。

19:20 WSスクリブル;
各自、紙と描画材を手に取り、約1分ごとに廻し描き。
何かを描こうと身構えると手が硬くなる。
まずは気持ちのままにいい加減な感じで軽く手を動かしていく。
手の動きが線や点となって画面に残っていくさまを楽しむ。
手がなじんできたところで、力の入れ加減や描く速度などに変化をつけてみる。
合図をして、隣の人へと画面を廻して描く。
/画面に応じて色を選んだり、沿わせたり逆らったり描き方が自然と変化する。
みんなで少しづつ手を加えて描くのでかかわりやすい。
できた画面を床に並べて鑑賞会;色の変化の味わい、線の勢いや繊細さやわらかさなどの味わい、同じことでも繰り返されることで画面が違ってくることの気付き。
<かたち>にそれぞれの<きもち>が感じられることへの気付き。さらに、それらが息づいて生きてうごめいているような<いのち>を読み取る。
/あらわすことの<きもち>と<かたち>と<いのち>のかかわりを楽しみ味わう。

19:40 WS色紙で顔;
色紙を5,6片に破る。それぞれ5片を色違いで選ぶ。
<選んだ色紙はなんですか?>の問いかけに
<たべもの>、<いきもの>、<遊具>、などの返答。
<この色紙の断片は、実は目鼻です。これで顔をつくってください。>
顔となる台紙は、形、大きさ、素材、など、各自で工夫する。
出来た顔に<どんな表情か>を読み取る。
さらに、<どんなひと?>キャラクターを考えてみる。性別、年齢、職業、好き嫌い、など、など。
ドンドン妄想を膨らましていく。
次に、そのキャラクターの相手をつくる。
発表と鑑賞;舞台で紹介。<皆さんよく遊ぶ、結構生活感が滲んでくる>
20:10 終了、まとめ


/表現することは特別なことではなくて、すでにあることです。
ちょっとそこに注意や興味、好奇を向けてみることでいろんな<きもち>や<かたち>が引き出されてくる。こどもたちには、そんな自由で安心できる、おもいっきりできる生きた場の体験と、気持ちの闊達な持ち方を引き出してやってほしいと思います。

2008年6月17日火曜日

五感で感じ考えよう

教員免許更新講習プログラム開発事業として文科省の助成による講座です。
主催 京大博物館+京都造形芸術大学
場所 京都大学博物館
全3日間のうちの水野担当分は、6月7日(土)(第1日目)の最初の2時間です。
受講者は、小学校の先生15名でした。

●プログラム
「五感で感じ考えよう」京都造形芸術大学 水野哲雄
身近な見慣れたものをいつもとは少し違う遊び心をもったアートの視点で感じてみます。目に見える形にすることで、具体的なものと想像的なものとの交感が、遊びと学びを結びつけて感じ・考えることの幅や奥行きを与えてくれることに気づきます。

キーワード;五感、身体感覚、具体と想像、ことばとイメージ、あそびとまなび

進行
10:00 はじめに;アートは身体全体で感じることからはじまる。
導入 身体感覚の気づき;
準備・材料;古新聞紙1部/人、色鉛筆、
WS <新聞紙をシワクチャに>;新聞紙を破らないようにシワクチャに揉み解していきます。拡げたり伸ばしたり、丸めたり、揉んだり、など、など、紙の感触を楽しみながら、段々感じが柔らかく、暖かく変化します。適当なところで隣の人の新聞紙と交換してみましょう。感触はどうでしょうか?
WS <新聞紙の文字探し>;一文字を決めて文字を色鉛筆で塗りつぶしていきます。
ここでは、<読む>と<見る>の違い、探すという見方、目の動き、などを感じてみます。二つ目の文字は、また違う色で塗りつぶしてという具合に紙面に色が埋まっていきます。
WS <新聞紙で音づくり>;最後に新聞紙からどんな音が出せるでしょうか?
楽器にみたてて擦ったり、破ったり、揉んだり、叩いたり、一気に押しつぶしたりなど、いろんな音を出してみよう。慣れてきたら発表です。ひとりづつ立って演奏よろしく音を奏でます。

次の段階は、<感じて考えよう>です。
休憩を兼ねて、キャンパスから小石を五つ拾ってきてもらいます。大きさは、手のひらに乗る程度の大きさです。かたち、色、感触などの変化あるものをできるだけ探してきてください。準備・材料;小石を5つ拾う、A4画用紙1枚/人
ws <小石を並べる>;
五つの小石をよく見てA4画用紙の上に置きます。まずは好きなように。
それぞれの置き方に理由を聞きます。「なんとなく」、「収まり具合から」、画面に対しての場の意識と石の布置関係は、あたかも石庭のようです。
1、それでは、「小さな石から大きな石へ」という関係が見えるように配置してください。
2、次に、「背の高い石から低い石へ」の関係が見えるように配置。
3、「濃い色から薄い色へ」の配置です。
4、最後に各自で何らかの関係を決めて配置してください。
  さて、それぞれの石の配置からどんな関係にあるかわかりますか?
ここでは、感覚的なものとルールというか、意識というか、人為的なかかわりといったことを考えて見ます。アートはなによりも人為性にあります。それは、石を規則的に並べただけでも人為性を感じ取ることができます。


最後の段階は、物理的な重力を感じて考えようです。
ws <ハリガネマンでバランスポーズ>
準備・材料;30㎝ほどの結束線(ハリガネ)3本/人、A4画用紙1枚/人、
三本のハリガネでヒト型をつくります。
一本目で頭と胴体を、二本目で両腕と肩を、三本目で両足と腰です。
次に、関節をつけます。下から、足首、膝、腰、肩、肘、手首、そして首です。
このヒト型をバランスをとって立たせましょう。
コツは、土踏まずを軽くつくることです。そして、ゆっくりと静かに前後のバランスをポーズでとることです。その際、必ず関節部を持って変形させます。
うまく立ったら、手に鉛筆や消しゴムなどを持たせてみよう。
さらに、実際の人間は、頭が重いです。頭部に小石をはめ込んで立たせてみてください。チャレンジです。
バランスよくたったヒト型は、その仕草に緊張感があって、とても美しいものです。合理性や目的にあった形は、スキがありません。




まとめ;
アートは、<感じること>と<知ること>を深める人間の行為。
Body&Brain;身体と頭のキャッチボールの大切さ。
ARTはHEARTのかたち付け、HEARTがつながるとEARTHがみえる。
意の作用。五感から六根へ(耳鼻舌眼身意)「意」は、息、気に通じ意識として頭を刺激する。
12:00 終了

2008年3月25日火曜日

ワークショップのためのワークショップ

2008年度マンデープロジェクトでのベイシックワークショップのトライアル授業です

トライアル授業 プログラム1
 ベイシック・ワークショップ グループリーダー こども芸術学科 水野哲雄

■タイトル;ワークショップのためのワークショップ

■2008年3月26日(水) ■NA412 教室 ■対象 約65名(FA22,TA22,新入生21)

■目的;ベイシック・ワークショップの実施にあたり、その教育的指導内容を検討する。

■到達目標;ワークショップ手法の内容・方法・意義付けなどについてのそれぞれの役割のモチベーションを深め持つ。

■進行プラン
09:00 はじめのガイダンス
09:10 導入として;教室設営とアイスブレイク(グルーピング/8-10グループに)
09:30 ①「ことばの木」;ことばをモチーフにグループでイメージ・メイキング
10:00 グループ展示発表
10:20 休憩(10分)
10:30 ②「ストーリーをつくる」;イメージの文法
10:50 発表
11:15 ふりかえり/ふりかえりシート記入
11:40 午後のガイダンス
12:00 

■準備物(主催者)
□模造紙大の紙;10枚(グループに1枚)
□フリップ用紙;B3サイズ程度30枚(グループに3枚)
□筆記具;色マジック(グループに1セット)
□予備紙;A3コピー用紙100枚程度
□セロテープ、展示用磁石、ホワイトボード、等
□FA準備物;タイマー、笛・鐘、デジカメ、等
□参考資料

午後は、永原ゆりさんによる「マルサンカクシカク」のプログラム
トライアル授業 プログラム2
 ベイシック・ワークショップ グループリーダー 永原ゆり

■タイトル;マルサンカクシカク

■ 2008年3月26日(水) ■NA412 教室 ■対象 約65名(FA22,TA22,新入生21)

■ 目的、到達目標はプログラム1と同じですが、FAもTAも一緒になって新入生と同課題に取り組むことで、ワークショップ本来の楽しさを味わい、前期の授業にいかしていっていただければ、と思います。

■ 課題:一定視点からのみ成立するカタチを描く

■進行プラン
11:40 課題への導入
12:00 〜 13 : 00 昼休み
13 : 00 〜 14 : 50 グループで課題制作
新入生5〜6人で1グループ+TA 2名
残りのTAグループ
FAグループ
15 : 00 〜 15 : 30 発表
15 : 30 〜 16 : 00 ふりかえり/ふりかえりシート記入、あと片付け等

■準備物(主催者)
    カラーテープなど昨年度のWS授業に準じたものをセンターで手配済み。

■ 必要なもの
TA:デジタルカメラ、ビデオカメラなど手持ちのカメラメディア
FA:臨機応変の知恵


ワークショップのためのワークショップ
3月26日2008年 こども芸術学科 水野哲雄

「楽する」から「楽しむ」へ;
からだ全体で感じて考える基盤を鍛えよう


WSの指導メモポイント
1 時間のデザインを;適切な時間配分
  成果よりもプロセスを重視
  導入とふりかえりの時間は、必須
  材料、段取りの事前確認
  進行上の偶発、寄り道、展開を十分想定する
2 プログラムの内容と準備
  場所、道具類の準備と制約
  プログラムの単元を明確に
  プログラムの主旨とブレ、そして発展性を活かして
3 ワークショップの意義付け
  ワークショップという体験の意義;からだで感じ・考える、みんなとみんなで
  目標設定(単元)を明示、共有;<いま・ここ>を大切に
  気づきの引き出し;掘り下げ(タテ軸)と押し広げ(ヨコ軸)
  体験を意識化することで経験となる、そのための工夫を(表現と発表)
  他者を知ることで自己をしる;刺激しあう仲間関係に
4 制約意識の向上
  制約を発想の契機に
  Less is More.;少ないほど、多くの余地(想像)がある。
  失敗をおそれず、ナゼ失敗したかと材料にする;失敗しないとわからないこともある
5 成果の点検と評価
  ふりかえりは、必須の意識化(ことば化);他者との差異とシェア(わけもつ)、自分に気づくなど、ポジティブに発展させよう。
  成果は、人の評価ではなく自己点検・評価に;あらわし・伝えようとすることで見えてくる
  自己点検・評価のためのドキュメントを;記録、メモ、図、画、思いつき、想像、などをまとめる編集力を、ポートフォリオはドキュメント
6 その他

2007年12月6日木曜日

かくこと、その3




Ws03 <リズムでストローク>
;四拍子、三拍子、四分音符、八分音符、リズムでストローク
材料;A3コピー紙 1枚/人、描画材(クレパス、クレヨン、色鉛筆、等)


Ws04 <オノマトペでドローイング>
材料;八つ切り画用紙 1枚/人、描画材(クレパス、クレヨン、色鉛筆、等)

○サークルワークで手拍子を廻していく。リズムに変化をつけて。

<二音ことば>でリズム;<はな><あお><あか><そら>、、、

<三音ことば>でリズム;<あひる><かえる><からす><こいぬ>、、、

<オノマトペ>でリズム;<ざーざー><わいわい><くちゃくちゃ><ぐるぐる>、、、
声のリズム、ことばのリズム、これら感じを指揮者のタクトのように描画材につたえ、画面にアクションしてみる。

○表現行為はアクトとリアクションのキャッチボール。からだと気持ちの応答力。

Ws05 <リズムで廻し描き>
30秒ほど描いたら隣の人に廻していく。順次、一巡するまで繰り返すグループワーク。



2007年11月27日火曜日

かくこと、その2

Ws02 <文字を書くから画を描くへ>


めあてとして;書くと描くとの差異、頭と手のかかわりの変化を感じよう。
文字を書くときは、左脳が手を動かす。
スクリブルを描くときは、右脳が活発化する。
①まず、名前をひらがなで書く、
②次に、紙から鉛筆を離さないで連続して書くことで、ひらがなの手の動きへとむかう。
③手の動きに慣れてきたら、筆圧の変化や、まわしたり、はねたり、スピードの変化など、気持ちよく手を動かすことに集中する。文字として読めなくてもよい。
④最後に、みんなでリズムを合わせて、一気にかこう。


○「ことば」と「文字」と「声」の話。
ひらがなは、もともと、漢字をくずしてできたもの。それも筆と紙という材料・道具にマッチしてのカタチといえる。
抑揚感や線の動きは、声と息と意とが連動してできてくるものだといえる。
ここでは、文字と画のかくことの変化や違いなどを感じてあそぼう。

かくこと



Ws01 <スクリブル>
;頭を空っぽにして手を自由に画面上で動かす。
最初は逆手で、描画材はパス、色鉛筆など自由、
慣れてきたら順手、もしくは両手でスクリブル。

出来たものに名前をつける。
画から思いついたことばを画面に添える。

スクリブルの鑑賞から;画にことばを添えることで違って見えてくる。
画からの連想であったり、フト思い浮かぶことばであったり、画との対話のように感じるがままをことばにしてみよう。
アートはハートのカタチ付け。気持ち、気分、なんとなく、といった気の移ろいや流れのなかから意が引き出される。意は、息にあらわれる。
ゆっくりと息をはいて、吸うと身体の中に意が流れてくる。
カタチから意を汲み取る。息に沿って画面上を目がうろつくことで、視線の動きに意識が応答するようになってくる。
意をカタチにこめる。
もっとも即応できるカタチは、声だ。声は息の流れから生まれてくる。
あああ、う、え、そんからで、じゃきんと、ぼくぼけ、、、。
画面に応答する視線と息に応じて、声をだしてみると。